梅干し・梅漬け編
A.漬け込み
A-① 梅干しにはどんな梅を選べば良いですか?(品種・熟度)
答 黄色く熟した梅を選んでください。熟していない梅は、A-②の「追熟」をお勧めします。また、梅の品種は「南高梅」「小梅」が適しています。「古城梅」は適していません。
A-② 青い梅では梅干しは作れませんか?(追熟の方法)
答 青い梅のままで漬けると皮や実が堅くなり、良い梅干しは作れません。また、梅酢が上がりにくく失敗の原因になります。青い梅は、梅漬け、梅酒、梅シロップにすることをお勧めします。なお、黄色くなりかけの梅は、追熟すれば漬けごろになります。
※日陰で新聞紙等にくるんでおくか、段ボールに入っている場合は、フタを開けたままにしておくと2~3日で黄色くなります。追熟させるときは、水に浸けないでください。
A-③ 青い梅には毒があると聞いたのですが?
答 青い梅を生で食べるとお腹をこわすなどと言われますが、これは、梅に含まれるアミグダリンという物質が要因と言われています。アミグダリンは、梅の熟度が増すにつれ減少し、梅を塩や砂糖で漬け込んだり、加熱することで心配はなくなります。
A-④ 紀州産の梅でカリカリ梅はできませんか?
答 カリカリ梅には未熟な青い梅を使用します。南高梅は果肉が多く、皮がやわらかいため向いていません。また、紀州産の小梅はやわらかい梅干し用として熟した頃に収穫されるので、皆様が手にする頃には、熟度が進みすぎてカリカリ梅には向いていません。
A-⑤ 漬ける前にアク抜きは必要ですか?
答 梅の実が黄色く熟していれば、アク抜きは必要ありません。水洗い程度で十分です。
※長時間アク抜きをすると変色する場合があります。
A-⑥ 追熟やアク抜きの際に梅が茶色になってきました。
答 追熟時であれば、梅の実に小さいキズがあったか、追熟させすぎたことが原因と考えられます。アク抜きした場合も、茶色になることがあります。
梅にカビが生えていなければ漬けることは可能ですので、すぐに塩漬けするようにします。
※アク抜きで茶色くなった梅は、そのまま漬けることができます。天日干しをすれば茶色が目立たなくなります。
※追熟のさせすぎやキズで茶色くなりすぎ、腐敗臭がするものは捨ててください。
A-⑦ どんな塩を使えば良いですか?また、その分量は?
答 「精製塩」は底に沈殿しやすく梅酢が上がりづらいので、ミネラル分と水分が多い「粗塩」をお勧めします。塩の分量は梅の20%(小梅は18%)で漬けるのが無難です。塩を少なくするとカビ(酵母)の発生原因になるため、減塩のものがお好みの場合は、白干梅を作ったあと、必要な量を塩抜きすることをお勧めします。塩抜きした梅干しは冷蔵庫に保存し、お早めにお召し上がりください。
A-⑧ おもしはどれくらい必要ですか?
答 梅酢が上がってきた際、梅が表面に出ないくらいの重さが必要です。おもしは、梅の重量が1~2㎏までは同量、2~10㎏までは2㎏のものを使ってください。おもしが重すぎると梅が潰れてしまいます。
A-⑨ 梅酢は漬けてからどれくらいで上がってきますか?
答 梅の品質や熟度などさまざまな条件によって違うので一概には言えませんが、早ければ翌日から上がり始めます。通常、塩漬けして4~5日で梅酢の量は最大になります。
A-⑩ 梅酢が上がってきません。どうしたら良いですか?
答 原因として考えられることは、①梅の熟度が足りない ②材料の割合が間違っている等です。
①の場合・・・おもしを少し重くしてください(梅の重量と同量)。
②の場合・・・割合を守って塩を追加してください。
※精製塩を使った場合、底に沈殿しやすいため、梅酢が上がりづらくなる場合があります。
A-⑪ しそ漬け梅にする場合、しそはいつ入れたら良いですか?
答 梅を塩漬けしてから約1か月後にもみじそを入れます(「しそ漬け」参照)。産地では、白干梅を作ってから、白干梅ともみじそを梅酢で漬け込むのが主流です( 「しそ漬け梅干し」参照)。
A-⑫ カビが発生してきました。どうすれば良いですか?
答 カビを静かに取り除いて、食酢を加えてください。量は梅2㎏で200~400cc程度が目安です。梅酢が濁っている場合は、梅を取り出して流水で洗い、梅酢は新しいもの(市販品、昨年漬けた際の梅酢等)で漬け直すことをお勧めします。梅酢を再利用する場合は、ひと煮立ちさせたあと冷まして利用してください。また、容器等も洗浄し、熱湯消毒(ポリ容器は酢を含ませた布等で拭く)してください。
A-⑬ 梅干しと梅漬けの違いは何ですか?
答 天日干しをするかしないかという点です。
B.天日干し(土用干し)
B-① 漬けてから、どれくらいで天日干しすれば良いですか?
答 漬けてから約1か月後、晴天が続く日を見極め3~4日(小梅は2日)天日干しをしてください。
※梅を漬けたあとの梅酢は、料理などに利用(C-③参照)できます。
B-② なぜ天日干しをするのですか?
答 強い日光にさらすことにより、カビ、酵母の繁殖を抑え、水分が少なくなり、梅干しを長期保存させる効果があります。また、皮がやわらかくなり風味も増します。
B-③ 何日くらい天日干しをすれば良いですか?
答 1日の日照時間を10時間として、L~2Lサイズの梅で3日、3Lサイズ以上は3~4日が基準です。小梅は2日です。重量だと、漬けた梅の重量の55%が目安。1kgなら550g。
B-④ 大きさの目安は?
答 1粒がLサイズで10~13g、2Lサイズ14~18g、3Lサイズ19~24g程度です。
B-⑤ 天日干しをしている途中に雨に濡れてしまいました。どうすれば良いですか?
答 一度、食酢でサッと洗い、梅酢に戻しておき、天候が落ち着いてから干し直してください。
B-⑥ 干しているうちに梅の表面に白いものが出てきました。カビでしょうか?
答 塩の結晶やクエン酸である場合が考えられます。干しているときにカビが生えることは、ほとんどありません。塩の結晶やクエン酸の場合は水に溶けますが、カビの場合は溶けません。
C.梅干しができてから
C-① 干したあと、梅干しはどのように保存すれば良いですか?
答 梅干しを容器(密閉ビン、ポリ袋など)に入れ、乾燥しないようにビンやビニール袋の口をしっかり締めて密閉して保存してください。梅酢も保存して料理等(下記C-③参照)に使ってください。
C-② 梅干しを保存していたら、梅から水分が出てきました。
答 ■保存してすぐの場合・・・・・・・天日干し不足が考えられますので、軽く天日干しをしてください。
■保存して数か月後の場合・・・純粋な梅エキスなので、そのまま置くと味がまろやかになります。
C-③ 梅酢の活用方法について教えてください。
答 ①料理に・・・しそ漬け梅、しめサバ、ドレッシング、漬物、酢の物などさまざまな料理に利用できます。
梅酢に鶏肉や魚を30秒~1分漬けて焼くとおいしくいただけます。
②その他・・・まな板の消毒、脱臭に。
C-④ しそ漬け梅を漬けたあとのもみじその活用方法について教えてください。
答 1枚ずつ広げてカラカラに干したあと、細かく砕いて「ゆかり」にしたり、魚と煮たり、あえものにしたりと非常に重宝します。
C-⑤ 梅干しができ上がりましたが、皮が固くなってしまいました。やわらかくする方法はないですか?
答 電子レンジで軽く熱が通るくらい温めてください。梅干し1粒をお皿に入れてラップをし、600Wなら約20秒温めます。多少ですがやわらかくなります。
C-⑥ 梅干しの賞味期限はどれくらいですか?
答 塩分20%程度で漬けた梅干しは、長く保存できます。20%程度で漬けたあと、塩抜きした梅干しは7日程度です。塩分が低い梅干しは冷蔵庫で保存し、お早めにお召し上がりください。
梅酒・梅シロップ編
① 梅酒・梅シロップには、どんな梅を選べば良いですか?(品種・熟度)【梅酒・梅シロップ】
答 古城梅、南高梅が適していますが、小梅でもできます。南高梅の場合は、青みの強いものから黄色いものまで、いずれの熟度でも梅酒・梅シロップを作ることができます。
※南高梅は熟しすぎると皮が破れ、繊維が果汁の中に出てしまうことがありますが品質には問題ありません。
■青い梅・・・・・・・・・・・・酸味があり、すっきりとした風味になります。
■黄色く熟した梅・・・・フルーティーでまろやかな風味になります。
② どんな砂糖を使えば良いですか?また、その分量は?【梅酒・梅シロップ】
答 梅シロップには氷砂糖や上白糖、グラニュー糖、ザラメ、何でも結構です。ただ、梅を冷凍しない場合、氷砂糖は不向きで、細かい砂糖の方がエキス抽出が早く、失敗する可能性が少なくなります。
砂糖の量は、梅の重量の80~100%以内なら調整して差し支えありません。ただし、砂糖を少なくすれば有効成分(ポリフェノール・有機酸)、シロップ量が減少します。
梅酒には、氷砂糖が一般的に使われていますが、グラニュー糖やザラメでも結構です。砂糖の量は、梅の重量の60~100%以内なら調整して差し支えありません。
③ カロリーオフの甘味料でも大丈夫でしょうか?【梅シロップ】
答 甘味料でも梅シロップはできます。ただし、甘味料によっては溶けづらいものもあり、そのためシロップの抽出が遅くなったり、抽出量が少なくなったりする場合があります。
④ 梅シロップをハチミツで作りたいのですが?【梅シロップ】
答 梅がしっかり浸かるくらいのハチミツを入れ、1か月ほど置けば完成です(梅1㎏に対してハチミツ1~1.2kg)。ただし、上白糖の方が梅のエキスが抽出されやすいので、上白糖を入れたあとにハチミツを少し入れる程度にしてはいかがでしょうか。
※ハチミツは加熱処理されていないものもあり、梅が表面に浮きやすいので、カビが発生しやすくなります。
※1歳以下のお子様は小児ボツリヌス症の心配があるため、飲ませないでください。
⑤ 失敗しない梅シロップの作り方は?【梅シロップ】
答 失敗なく梅シロップを作るには、冷凍梅で漬け込んでください。冷凍梅を使うと梅に穴を開ける必要もなく、早くエキスが出るので冷暗所保管で大丈夫です。ヘタは無理に取らなくても大丈夫です。最後に網じゃくし等で濾してください。
※梅を冷凍させることにより、梅の表皮にわずかなヒビが入り、エキスが出やすくなります。
⑥ 漬けてからどれくらいで飲めますか?【梅酒・梅シロップ】
答 梅シロップは、砂糖が溶ければ飲み頃です。冷凍した梅であれば約7日ででき上がります。
梅酒は、約3か月で飲めるようになりますが、さらに6か月~1年ほど置くと、より熟成されおいしくなります。
⑦ 賞味期限はどれくらいですか?【梅酒・梅シロップ】
答 梅シロップは冷蔵庫で1か月。長期保存する場合(3か月)は加熱殺菌(下記⑧参照)をして冷蔵庫で保存してください。梅酒はアルコール漬けなので、賞味期限はありませんし、梅干しのようにカビの心配もありません。梅酒は1年ほど置けば、梅のエキスがほぼ抽出され、おいしくなります。
⑧ どのように保存すれば良いですか?【梅シロップ】
答 砂糖が溶けて飲み頃になったら梅の実を取り出し、シロップを別容器に移しかえ、冷蔵庫で保存してください。長期保存の場合はシロップを鍋(アルミ製以外)に入れ、加熱殺菌後(ひと煮立ちさせる程度で。80℃以上にならないと殺菌できません)冷ましてから清潔なビン等へ移し冷蔵庫で保存します。
⑨ 梅シロップは冷凍梅を使うことを推奨していますが、梅酒は冷凍梅でできないのですか?【梅酒】
答 梅酒も冷凍梅でできます。梅酒・梅シロップとも冷凍梅で作ったほうが梅の機能性成分がよく抽出されることが分かっています。
⑩ 発酵してきました。どうすればよいですか。【梅シロップ】
答 発酵が少ない場合は、発酵部分を取り除き、酢を大さじ1~2杯加えてください。
発酵が多い場合は、発酵部分を取り除いたあと、シロップだけを鍋(アルミ製以外)に濾して入れます。鍋を火にかけ、浮いてくるアクを丁寧に取り除きながら煮立て、アクが出なくなったら、あら熱をとり、温かいうちにビンに戻します。砂糖が沈殿していないか気を付けながらシロップができるまで冷暗所で保存します。
※発酵してくると、シロップに白い泡やにごりが出てきます。また、発酵が進むと、強いアルコールの臭いがしてきます。
⑪ 梅酒を作る場合、漬けた実は取り出すのですか?【梅酒】
答 梅酒を漬けておく期間が1年以内であれば、実を取り出す必要はありません。1年以上ねかせて梅酒を熟成させたい場合は、1年を目途に梅の実を取り出してください。
なお、梅が熟し過ぎて果肉が梅酒に溶け出すなど、濁りが気になる場合は、3か月を目途に梅の 実を取り出し、梅酒を清潔なふきん等で濾していただければ問題ありません。
⑫ どんな焼酎を使えば良いですか?また、焼酎以外でもいいですか?【梅酒】
答 基本的には、ホワイトリカー(アルコール分35度の甲類焼酎)を使います。焼酎以外でもウイスキー、ウォッカ、ジンなどのお酒をベースにいろいろな梅酒のバリエーションが楽しめます。
※自家製梅酒は、アルコール分20度以上のもので。(梅酒の作り方「トピックス」参照)